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地域・歴史・文化


徳之島出身の作家、川野彰子(かわのしょうこ)
昭和2年~昭和39年


早逝したのが惜しまれる作家です。
遊郭を題材にしていますが、描かれる男女の姿は、纏綿とした情緒というよりはまさに人生そのものです。
女の哀しみ、人生の哀れさを見出すこともできますが、荒々しくもたくましい人生が巧みに浮かび上がってきます。
存命であれば、その後、どのような題材で人間を描いたのでしょう。

川野彰子は、昭和2年に徳之島に生まれました。
亀津小学校2年生まで、島で育ちました。
その後、神戸へ移り、京都で暮らしました。
京都では島原遊郭の近くに住んだことが、のちに小説の題材に使われたのだと推測されます。
立命館大学に進み、学生のころから小説を書き始め、昭和27年に卒業しました。
本格的な執筆は、昭和35年に同人誌「VIKING」に参加してからです。
2度も直木賞候補になりましたが、残念ながら受賞はかないませんでした。
受賞しなかったとしても、じゅうぶんな筆力のある作家です。
「色模様」が第47回直木賞候補、「廓育ち」が第50回直木賞候補にあがった作品です。
結婚は卒業翌年の昭和28年で、夫は奄美大島出身の医師でした。
診療所のある神戸で生活し、4人の子どもを育てながらの執筆が続きました。
昭和39年に急死しました。
『廓育ち』は没年の昭和39年3月10日に文藝春秋新社から発行されています。
直木賞候補になった「廓育ち」「色模様」のほか、「狂い咲き」「凋落」が入っています。
『廓景色』も昭和39年5月25日に発行され、発行元は講談社です。
こちらは長編です。

資料『かごしま文学案内』春苑堂