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地域


三島村の火山や地質をわかりやすく伝え、島を再発見させてくれる若き地質学者

2015年9月20日の毎日新聞、2016年(平成28年)4月10日の讀賣新聞によりますと、
鹿児島県の三島村(竹島、硫黄島、黒島)とその周辺海域で構成する「三島村・鬼界カルデラジオパーク」は、
2015年(平成27年)9月に日本ジオパークに認定されています。
ジオパークとは、地球の成り立ちがわかる地形や地層などがある公園のことを指します。
現在、国内に39地域あり、国内の認定機関・日本ジオパーク委員会が審査しています。
39地域の中の8地域は、日本ジオパーク委員会の推薦を受け、世界ジオパークに認定されています。

三島村HPによりますと、三島村は東は太平洋、西は東シナ海に面し、九州南端から南西にのびる南西諸島の最北部に位置しています。
竹島・硫黄島は、薩摩半島南端の長崎鼻から南南西約40kmの位置にあります。
黒島は、坊ノ岬から南西約50kmの位置にあります。
そのほかにも、無人の新硫黄島や数個の岩礁から成り立っています。
竹島と硫黄島及び周辺の岩礁は、中新期琉球火山脈に属する大型カルデラです。
六千三百年前に大噴火した鬼界カルデラの北西縁にあたる陸上部分です。
黒島は、旧期琉球火山岩帯に属しています。
宇治群島や草垣群島などと同様です。
亜熱帯的海洋性気候で、黒潮の影響を受け、気候は温暖です。
しかし、台風の進路に当たり、また、冬の季節風が強いため、四季を通じて風潮害がきわめて大きいことも特色です。
放牧による和牛の畜産や漁業が基幹産業で、平成18年の国勢調査では人口は408人でしたが、現在は350人弱です。

鬼界カルデラは、縄文時代に南九州を壊滅させた破局的噴火(アカホヤ噴火)から発生しました。
竹島港では、アカホヤ噴火で噴出した堆積物が確認できます。
また、黒島では縄文時代の遺跡が発掘されています。
硫黄島では天然硫黄が採掘され、火薬の原料として中国へも輸出されていました。
現在は珪石(けいせき)が採掘され、セメントやガラスの原料となっています。
また、地熱を利用して発電し、液体水素を製造する計画も進んでいます。

観光客や定住者を増加させ、活性化を図ろうと、村は「三島村ジオパーク推進連絡協議会」を設立しました。
そのためには、火山と地質への観点をが不可欠で、専門知識を持った職員が必要でした。
村の地球科学研究専門職員として、2013年(平成25年)10月、大岩根尚さんが採用されました。
大岩根さんは九州大学で地質学を専攻し、東京大学で博士号を取得しました。
2011年には、第53次南極地域観測隊での経験もあります。
三島村の地球科学研究専門職員への縁は、大学時代の恩師が硫黄島を研究していることから、声をかけられました。
三島村の村役場は鹿児島市にあります。
就任後は専門分野だけではなく、何度も島に渡り、歴史・文化も調べ、イベントや、断崖・地層案内ツアーも企画しました。
島民にジオパークの意義を説明し、専門分野を通して、島の独自性を伝えました。
このような活動が、ジオパーク認定へとつながったと言えます。