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歴史・文化

中国雲南省に泡盛・焼酎などの蒸留酒のルーツを見る

讀賣新聞に「時代の証言者」という連載があります。
小泉武夫氏「発酵はおいしい」平成27年4月15日では、日本の蒸留酒がどこから伝播されたかを解明する手がかりになる記事があります。
この連載によりますと、1534年に書かれた中国、明の大使の報告書には「(琉球国で造られている酒の)造法は南蛮甕と共に
シャムから渡来した」と記されています。
種子島にポルトガル船から鉄砲がもたらされる約10年前のことです。
これまで、日本の蒸留酒は「シャム(現在のタイ)→泡盛の琉球→鹿児島などの焼酎」という伝播発展の経路とみなされていました。
しかし、物証は乏しいものでした。
氏は1990年頃から約15年ほど、毎夏1ヶ月を費やして、メコン川流域の発酵学、食文化調査に取り組みました。
メコン川は中国からミャンマー、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナムと流れる国際河川です。
氏は、中国雲南省西双版納(シーサンパンナ)という国境地帯で、蒸留器を見ました。
それは、江戸時代の「和漢三才図会」に載っている蒸留器と瓜二つだったと氏は書いています。
また、タイ国立博物館には、南蛮甕が展示されていますが、それは焼酎を運んで詰めた、約450年前のものです。
これもまた、那覇市の沖縄で一番古い泡盛会社に保管されている大甕とまったく同じでした。
この発見から、氏は、泡盛や焼酎などの蒸留酒は、雲南省からメコン川を下ってシャム(現在のタイ)に伝わり、
シャムと交易が盛んだった琉球(現在の沖縄)へと伝播したと推測しています。
時期は、14世紀後半から15世紀ごろだと推測しています。