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歴史・文化

南日本銀行の本店は昭和初期に建てられた歴史的建造物

鹿児島市の中心部、朝日通(あさひどおり)沿いに、南日本銀行の本店があります。
建築学上も貴重なものであり、平成10年(1998年)12月11日付で国の登録文化財となりました。

南日本銀行HPによりますと、この建物は鹿児島県の技師、三上昇氏の設計によるものです。
昭和12年(1937年)5月に完成しています。
昭和42年(1967年)に増築し、現在は地下1階地上8階ですが、もともとは4階建て(一部6階建て)の建物です。
この建物の特徴は、ルネサンス様式とゼツェッション様式が混合している点にあるとされています。
ルネサンス様式とは、15~17世紀初頭、ヨーロッパで普及した建築様式です。
ギリシャ・ローマ様式を復興させたものであり、シンメトリー(左右対称)やバランス(調和)を重視しています。
大理石の床や円柱・アーチ、装飾の施された壁、コーニス(梁の最上部の水平帯)を施した外壁などが特徴です。
一方、ゼツェッション(Sezession)とは、19~20世紀初頭に芸術や建築分野で興った革新運動です。
それまでの権威から分離して創造活動へと赴く意から、分離派とも呼ばれます。
画家のダスタフ・クリムト、建築家のヨゼフ・オルブリッヒやヨゼフ・ホフマンが有名です。
したがって、この南日本銀行の建物は、近代から現代への過渡期の作品とも評されます。

この建物が建設された当時は、南日本銀行ではなく、鹿児島無尽株式会社の時代でした。
現在の南日本銀行は、大正2年9月に同仁貯金合資会社として創業しました。
その後、昭和11年4月に鹿児島無尽株式会社に組織変更されました。
その1年後に、この建物が完成しました。
昭和26年10月に相互銀行法施行に伴って、株式会社旭相互銀行に商号を変更しました。
平成元年2月に普通銀行に転換し、南日本銀行に商号を変更し、現在に至っています。
この建物は約80年の間、無尽、あるいは旭相互の時代からの由緒ある建物として、鹿児島の人々に親しまれています。