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気象衛星「ひまわり8号」打ち上げ成功
気象予測向上と防災への活用が期待される


南日本新聞、読売新聞(ともに平成26年10月8日)、および種子島宇宙センターHPによりますと、
平成26年10月7日14時16分、三菱重工業株式会社および宇宙航空研究開発機構は、
静止気象衛星「ひまわり8号」を搭載したH-IIAロケット25号機を種子島宇宙センターから予定通り打ち上げました。
(これ以後の文では、H-IIAではなく、H2Aと表記します。)
ロケットは打ち上げ後約27分57秒、高度約263キロで「ひまわり8号」を正常に分離し、打ち上げは成功しました。
「ひまわり8号」は16日頃に静止軌道に達する見込みで、動作試験終了後、2015年から観測が開始されます。
打ち上げ時の天候は晴れ、北東の風(8.5m/s)、気温24.6℃ でした。

「ひまわり」は日本初の実用気象衛星として、1978(昭和53)年に運用を開始しました。
赤道の上空約3万5800キロの軌道を、地球の自転に合わせて周回します。
地球から放出される赤外線や、反射する太陽光の波長をセンサーでとらえ、
私たちがテレビの天気予報などでよく目にする雲画像を撮影しています。
ひまわり8号の最大幅は約8メートル、重さは約1.3トンです。

今回の「ひまわり8号」には、大きな特徴があります。
気象庁が初めて、気象観測に特化した衛星として開発しました。
米国のメーカーが開発した「可視赤外放射計」と呼ばれる、世界最先端の観測能力を持つセンサーを搭載しています。
米国や欧州で、同じ性能のセンサーを搭載した衛星を打ち上げるのは2016年以降の予定です。
日本が世界最初の活用となります。
「ひまわり7号」までは、白黒の画像しか撮ることができませんでした。
しかし、今回搭載のセンサーは、大気や雲の様子をカラーの画像で撮影できます。
雲との判別が難しかった火山灰や黄砂の分布を、細かく把握することができます。
解像度も向上し、台風や積乱雲の様子を分析する機器も増えました。
このような性能を活かし、気象庁は集中豪雨等の気象予測の向上を目指しています。
現行の7号機は、2015年に設計寿命を迎えます。
そのため、後継機の「ひまわり8号」の打ち上げは急を要していました。
2016年には、9号の打ち上げが予定されています。
観測継続には、2機体制が基本という理由からです。

H2Aロケットとは、衛星を運ぶ、大型の液体燃料ロケットです。
米国の技術を導入し、1975年(昭和50年)のN-1から始まりました。
現在は、純国産のH2Aが基幹ロケットとなりました。
H2A7号機から25号機まで、19機連続で打ち上げは成功しています。

南種子町では、町が設けた4か所の見学場に約3000人が集まり、打ち上げを見守りました。
鹿児島市のJR鹿児島中央駅前の広場では、鹿児島県宇宙開発促進協議会の企画で、ライブ中継が行われました。
宇宙航空研究開発機構作成の「ひまわり8号」打ち上げ中継をyou tubeでも見ることができます。


「ひまわり7号」と「ひまわり8号」の性能比較
ひまわり7号(現行機) ひまわり8号(後継機)
打ち上げ 2006年 2014年
観測開始 2010年 2015年夏(予定)
衛星から見える全範囲の観測にかかる時間 30分 10分
観測できる最小の範囲 1キロ四方 500メートル四方
雲や大気の性質を分析する機器 5種類 16種類
画像の色彩 モノクロのみ カラーも可能