Idea
02ten

美術館や博物館をもっと身近に

2015/11

何かの展覧会があるときだけ、美術館や博物館を利用していませんか?
また、特別展の場合でも、「さあ、見てやるぞ」という気持ちが強すぎて、人ごみに疲れたりしていませんか?
それでは、少しもったいない気がします。

美術館や博物館は、何か楽しみを探したり、あるいは気分転換をするために、最適な場所のひとつです。
高尚なことをしに行くと思うと敷居が高くなりますが、洋服を探したり、コーヒー店で過ごすのと近い楽しみだと私は考えます。
スポーツで言えば、公式試合というよりは、軽いジョギングです。
自分の好きなものをちょっと探しに行くとでもいえばいいでしょうか。
それは、美術館にある絵画かもしれないし、博物館に展示してあるものかもしれません。
建物そのものであったり、併設の喫茶店かもしれません。
大都市に住んでいなくても、美術館や博物館は、県内に必ずいくつかはあるものです。
また、東京や大阪などの大都市に行く時は、美術館や博物館に立ち寄るのも、案外おつなものです。
なじみの店ならぬ、なじみの美術館や博物館というのは、人生に潤いを与えるひとつになります。

美術館に行ったとき、じっくりひとつひとつを見るのも素晴らしいことですが、それ以外にも楽しみ方はあります。
まずは、全体をざっと見て、それからひとつふたつ気に入ったものに戻ってゆっくり見るやり方です。
そうすれば、見終わった後も、印象が残ります。
すべてを鑑賞しようとするのはかなりエネルギーが必要です。
このやり方だと、非常に余韻が残るために、満足感もあるように思います。
展覧会に行くと疲れるからと思う人にはお勧めかもしれません。

友人と一緒に見に行く人も多いことでしょう。
もちろん、いっしょに感動を共有する楽しみもありますが、自分の好きなものをじっくり見るのもいいものです。
興味の対象は、それぞれちがうものです。
特に女性は、自分のペースで見られないと思いながら相手に合わせている人も少なからずいるようです。
館内は別行動、出口でのおおよその待ち合わせ時間を決めておく、と提案してみるのもいいかもしれません。
出口には、たいてい絵葉書等を販売しているため、先に出た人が時間をつぶすことも難しくはありません。
展示物の前でおしゃべりしなくても、気に入った絵についてあとでゆっくり話すこともできるのです。
そのほうが、見終わった後のお茶が楽しみになるかもしれません。

外出できなくなったとしても、楽しみが消えるわけではありません。
インターネットのおかげで、現在は、多くの美術館にHPがあります。
東京国立博物館のホームページなどは、逆に長居をしないように気を付けなくてはいけないほどです。
国宝をじっくりと見られるのは、以前では考えられないことです。
重い美術カタログを膝に乗せるのは無理なお年寄りも、タブレットで好きな美術品を楽しむことができるでしょう。
これからは、老人ホーム等でそんな光景があたりまえになったらと私は思っています。