旅の思い出を入れるお土産
2014/7
財布は、お金をしまうところです。
弁当箱には、弁当が入っています。
財布や弁当箱は、何かが入っていないと一人前になりません。
しかし、それ自体がないと困ります。
旅の思い出の品は、帰ってそのままにしておくと、拡散し、そのうち消えてしまいます。
写真はカメラかスマホに入ったまま。
拾った貝殻も、どこに行ったやら。
捨てられずに取っておいた入場券も、引き出しや棚の上でほかのものと一緒になっているうちに邪魔になり、
いつのまにかゴミになります。
写真だけは、旅のアルバムを作る人もいるかもしれません。
本当のアルバムだったり、ウェブ上に作ったりするのでしょう。
その時、旅の思い出はもっとあったはずなのに、と思うことはないでしょうか?
今回提案するのは、旅の思い出を入れる物自体がお土産になるというものです。
つまり、財布や弁当箱に似ています。
それ自体も大切だけれど、決して主役ではありません。
渋い脇役です。
しかし、その脇役はとても大切です。
だからこそ、私たちは財布や弁当箱をいい加減に選ぶことはしないものです。
少し厚めの本を想像していただきたいのです。
厚い辞書でもかまいません。
本の形だと、並べておくこともできます。
背表紙には、たとえば、鹿児島と書いてあります。
江戸時代の画家のように、猫が魚をくわえている形が字になっていても楽しいですね。
あるいは、装丁はその土地の心惹かれる写真かもしれません。
表紙を開けると箱状になっていて、中に旅の思い出のものをいれておくことができるようになっています。
貝殻は、ひとつひとつ、ファスナーのついたビニールの小袋にいれて、まるで、キャンデーのように収納できます。
写真を入れる場所もありますし、切符やスタンプ帳を飾っておけるようにもなっています。
厚みがあるので、入れやすいのです。
そして、ひとつにまとめるので、なくすこともありません。
浦島太郎の玉手箱と違い、この箱は、開ければいつでも、あの時の旅の思い出がよみがえってきます。
土産物と一緒に、その土地ならではの、「逆玉手箱」が売っていれば面白いように思うのです。