Idea
02ten

非常時と非日常を同時に考えました
2014/2
停電対策は、薄闇を基調とした照明デザインを事前に作っておけば、一石二鳥です。
電気が通じなくなった、それではこれを使おう、と、いざという時専用の懐中電灯やローソクだけで生活してみると、使い辛いことがわかります。
懐中電灯やローソクが悪いのではありません。
薄暗い明りの生活に、私達が慣れていない、というのが一番の理由です。
もうひとつの理由は、懐中電灯のように、暗い中で自分が動く所だけに光源があっても、行動はしづらいのです。
戸外ならともかく、家の中は、決められた場所にぼんやりとでもいいから灯りがあれば、私達の目がそのうちに慣れてきます。
なにより、体が灯りの場所を覚えています。
非常用でもあり、非日常用としても使える照明を家の中に配置しておくのはどうでしょう。
家の中に、電気を使わない照明を配置しておき、時々、気分転換にその灯りで生活を楽しむことをしておくと、停電時でも慌てません。

さて、「薄闇を基調とした照明デザイン」と言っても、もちろん、専門家に依頼する必要はありません。
簡単な道具を使えば、大丈夫です。
使う道具は、近頃主流になりつつあるLEDです。
火災の危険があるので、火を使うローソク類は、除外します。
単三、単四電池数本で数十時間も持つ、ランタン式懐中電灯など、値段も種類もさまざまです。
また、ボタン式電池で点灯するローソクタイプのものもあります。
一見、ローソクに見まがうようなもので、元々は仏壇に置くためにできたものもあります。
ティーキャンドルといい、高さが2センチくらいのものを、私は重宝しています。
LEDのティーキャンドルは150円ほどで、まるでローソクの炎が揺らいでいるような光です。
これらを照明代わりに使います。
アンティークスタンド等を使って、雰囲気を出したいという方もいらっしゃるでしょう。
しかし、今、考えているのは停電対策です。
電気が通じないことを前提とした薄闇照明なので、どんなに魅力的であろうとも、一般の照明器具も、ここでは除外します。

いざという時に懐中電灯などで生活しづらいのは、事前練習がないからです。
自分の家であったとしても、私たちは明るい光の下で行動することに慣れ過ぎています。
暗めの家であったとしても、定位置に小さな灯りがあれば、普通に行動できるものです。
したがって、小さなLED照明は、場所を動かさないことが重要です。
定位置にあれば、停電時に、その場所にいって、スイッチを押すだけでいいからです。
どこにおけばいいのかは、薄闇で行動してみるしかありません。
テストは、楽しくやりましょう。
音楽を聴いたり、静かに考え事をしてみたり、ふたりでゆっくり酒を飲むというシーンには、日常の照明がないほうが効果があります。
部屋の電気を消し、LEDの小さな灯りだけにしてみると、心が落ち着きます。
今日一日のことを、じっくり考えることもできます。
電気をつけようと思えば、それが可能な時に、この部屋にはもう少し灯りがあったほうがいい、廊下やトイレの灯りはここだろうか、と考えてみると、テストも楽しくなります。

ティーキャンドルは小さいので、そのまま置いてもかまいませんが、小物と組み合わせて利用すると、楽しくなります。
使わないエッグスタンドもぴったりです。
小さなガラスのコップの中に入れても、きれいです。
あとは、あなたのセンスかもしれません。

もうひとつ、言い忘れたことがあります。
有難いことに、太陽は毎日上ってくれます。
電気はもちろん、照明だけに使うわけではありません。
しかし、たとえ停電になっても、ずっと薄闇のなかで暮らさなくてもいい、その幸せをもう一度かみしめたく思うのです。
当たり前すぎて忘れてしまうことですが。