Idea
02ten

マンガ村
2001/11
地方でも、県庁所在地はまだ、活性化しているかもしれません。
しかし、多くの町が人口減、高齢に悩んでいます。
若者が、なぜいないのでしょうか。
たぶん、仕事がないからだと思います。
生まれた土地に留まっていたくても、仕事がなければ、生きてはいけません。
仕事がなければ、やはりあきらめます。
都会で生まれ育っても、小さな町で生きていくほうが、好きだという人もいます。
生まれ故郷であるかどうか、だけではないようにも思います。
地方の小さな町で、公務員になるしか選択肢がないとすれば、悲しいことですし、それですら、非常に狭き門です。
公務員以外にも、魅力的で現実的な仕事があることを、たくさん提示できることは、とても大切だと思います。
確実なこと、安定性を求める人がいるように、不確実な点もあるけれど、おもしろいことが好きな人もいます。
地方に住もうが都会に住もうが、自分の仕事を選んで、その上で、人一倍努力する生き方ができたらとおもうのです。

これは空き家ばかりがふえた、いわゆる過疎の村のおはなしです。
正式な村名もありますが、マンガ村という名前もあります。
漫画家なら、ただで家が借りられます。
本拠地は、別のどこかにあってもかまいません。
別荘みたいに使うもよし、ずっと住むのもかまいません。
漫画家がたくさん住んでいると、フェスティバルやイベントを無理にしなくても、マンガに興味のあるひとは集まってくるものです。
そういう人たちのために、二段ベッドがならぶ、インドの安ホテルみたいな宿泊施設があります。
素敵な一軒家もあり、長期の滞在もできます。
サービスはホテル並のものから、何もかも自分でするものまで、色々です。
もちろんホテルもあります。夏には、テント村も出現します。

マンガに関してのイベントは短い期間ではなく、その村に行くと、いつもなにかが行われています。
特別なイベントとは、はっきり言って好みの問題かもしれません。
村を歩いていると、マンガのキャラクターそっくりの人に出会うこともあります。
これも一種のイベントです。
村の人は、最初は驚きましたが、すぐに慣れてしまいました。
「東京に行っても、あんな人に会えないのは、なんだか寂しいね」
と、村のおばあちゃんは言います。
「秋葉原に行けば会えるよ」と孫娘は言いますが、そのずっと前から、おばあちゃんはアニメのキャラクターと村で会っていたのです。

マンガ村には、ホテルの仕事、村の食堂、いろいろな仕事があります。
多くの漫画家が住んでいるので、クリーニング、銭湯、便利屋、案外色々な仕事が必要になるのです。
古書を全国から集めている村があるようです。
そこから一歩進めて、書き手の漫画家も読み手の観光客も滞在型にしてしまう村です。
観光地になるのか、私にはよくわかりませんが、村人はさほど多くはなく、「半分村人」が多い村です。