鬼界海底カルデラ内に、大規模な溶岩ドームを発見
鹿児島県・薩摩半島沖には、海底火山が存在します。
鬼界海底カルデラと呼ばれ、約7300年前に巨大噴火しました。
約7300年前といえば非常に昔のように思われますが、40立方キロメートル以上のマグマを一気に噴出する巨大カルデラ噴火に関しては、
日本列島では最も直近です。
九州南部の縄文文化を壊滅した噴火と言われています。
巨大カルデラ噴火は、日本列島で今後100年間に約1%の確率で発生すると言われています。
甚大な被害が予想されるため、巨大カルデラ噴火の発生メカニズムの解明と噴火予測の検討は喫緊の課題となっています。
2018年2月9日、鬼界海底カルデラを調査してきた神戸大学海洋底探査センター (KOBEC)の研究成果が
英科学誌サイエンティフィック・リポーツ電子版に掲載されました。
その内容は、鬼界海底カルデラ内に、大規模な溶岩ドームを発見したというものです。
溶岩ドームは直径10~13キロ、高さ約600メートル。体積は32立方キロメートル以上と推定されています。
地球上で最大クラスの巨大な溶岩ドームです。
噴火後、非常に短期間に、カルデラの地下に巨大なマグマだまりができた可能性があります。
溶岩ドームが水中で形成される際にできる特有の割れ目や、
活動的マグマが存在する可能性を示す「熱水プルーム」なども発見されています。
次の巨大噴火に向け、マグマだまりに新たなマグマが供給され続けている可能性も高いと指摘しています。
2013年に噴火し、活発な火山活動を続ける薩摩硫黄島の噴出物と、鬼界海底カルデラ内の溶岩ドームの
表面から採取した岩石に同じ特徴があることも、今回わかりました。
神戸大学海洋底探査センター (KOBEC)は、鬼界海底カルデラの探査航海を、2016年から
3回実施してきました。
使用したのは、神戸大学大学院海事科学研究科附属練習船「深江丸」です。
探査航海では、精密海底地形調査・反射法地震探査・海中ロボットによる観察・岩石試料の採取と分析・
海底地震計や電位差計などを用いた観測などを行ってきました。
今後は、地震学的・電磁気学的手法で巨大マグマ溜りの位置・形を特定することを目指します。
神戸大学海洋底探査センター(KOBEC)は平成27年10月、神戸大学の全学共同教育研究組織として
設置されました。
海洋カルデラ研究を通じて、海洋資源の開発や海洋環境の保全、海洋人材を育成します。
対象は、薩摩半島から約50キロメートル南にある「鬼界海底カルデラ」で以下のような研究を実施予定です。
・神戸大学が有する「深江丸」を用いた海洋底構造探査による巨大カルデラの構造解明
・世界初となる海底火山ネットワーク観測によるマグマ活動のモニタリングや鉱床評価
・火山学的解析による大規模マグマ発生・巨大噴火メカニズムの解明
海洋底探査に関わる広い範囲の科学技術を機能的に融合し、
国内唯一の教育研究拠点を構築することを目的としています。
理学研究科を中心に海事科学研究科、工学研究科をはじめとする学内の研究科と
以下の機関が連携しています。
京大防災研(モニタリング)
高知大コア研(試料分析)
ウッズホール海洋研究所(USA)
ブリストル大学(UK)
東大地震研(構造探査)
鹿大理(鹿児島湾探査)
米国地質研究所(USA)
国立水圏大気圏研究所(NZ)
東大工(資源評価)
東京海洋大(構造探査など)
京大工(探査技術開発)
海洋研究開発機構
石油天然ガス金属鉱物資源機構
日本掘削科学コンソーシアム
参考資料
・時事ドットコムニュース2018年2月9日 19時20分
・神戸大学HP
・神戸新聞NEXT2018年2月9日 19時50分
・大学ジャーナル オンライン