線虫の嗅覚を利用した研究の中間報告
平成28年12月14日の南日本新聞によりますと、
南風病院(鹿児島市)とHIROTSUバイオサイエンス(東京都)は、13日、線虫を使ったがん検査の中間結果を発表しました。
中間結果では、消化器がんと診断された患者の尿検体63例のうち、57例が陽性を示し、
線虫のがん患者を見分ける確率は90.5%でした。
特に発見が難しいとされている胆・すいがんについても、確率は90.0%でした。
平成29年1月16日の日経新聞よりますと、
九州大学大学院の広津崇亮助教(神経科学)が社長を務めるHIROTSUバイオサイエンスは、
がんを患った人の尿に反応する線虫で早期診断を目指すシステムを現在、開発しているところです。
広津助教は、土壌に存在する線虫の基礎研究に実績があります。
線虫の嗅覚は非常に優れたものがあり、体長は数ミリしかない線虫の匂いを感じる場所は犬の1.5倍もあります。
がん早期発見への応用は、医師から「食中毒患者で胃に寄生した線虫の近くに胃がんがあった」という例を聞いたことによります。
がんの匂いを線虫が嗅いで、群がってきたと広津助教は推測しました。
尿にも、がんの成分は漏れていることから、患者の尿を使用し、早期発見のための実用化を目指しています。