露地栽培にもIPM(総合的害虫・雑草管理)を
指宿のオクラ農家で土着天敵を活用
平成28年8月22日の南日本新聞によりますと、
鹿児島県農業開発総合センターでは、指宿地区での露地栽培でのIPMの推進を普及しています。
IPMとは、天敵や選択的農薬を組み合わせ、病害虫の発生を抑える技術です。
2014年度から県農業開発総合センターは、それまでの研究を、本格的な実証実験として指宿で開始しました。
天敵を利用するIPMの手法は、もともと、施設栽培で導入されてきました。
鹿児島県内で、ピーマンは栽培面積の9割以上、イチゴは5割以上が導入しています。
施設栽培自体が閉鎖空間であるため、天敵の益虫が逃げることもなく、効果が表れやすいためです。
一方、露地栽培では天敵を畑に誘い定着してもらうためには、地域の生態系を上手にコントロールする必要もあります。
地域によっては、害虫の種類が異なる場合もあります。
課題はありますが、露地栽培でのIPMの取り組みは注目を集めています。
オクラには、ワタアブラムシという害虫がつきます。
殺虫剤で害虫を除去する方法もありますが、月に1,2回は薬剤散布が必要で、時間、労力、費用もかかります。
IPMの方法は、テントウムシやヒラタアブといった天敵を活用し、オクラの害虫防除に役立てる方法です。
まず、オクラの周囲にソルゴーやバジルといった植物を植えます。
ソルゴーはテントウムシの餌となるアブラムシを発生させ、バジルの花は花粉や蜜などを天敵に提供します。
その結果、オクラの畑にテントウムシやヒラタアブが集まり、病害虫を駆除するという仕組みです。
農薬を全く使わないというのではなく、害虫の発生状況により、選択的殺虫剤を使用します。
選択的殺虫剤とは、天敵には影響が少なく害虫だけに効果がある殺虫剤のことです。
2014年度は、IPMではソルゴーのみでしたが、2016年度はバジルも利用し、花や蜜で天敵の益虫を畑に誘導しています。
農家の参加はに関しては、2015年度は、26戸がIPMに参加しました。
2016年度は70戸近くに増加しています。
ただし、指宿のオクラ農家は1,000戸以上です。
県農業開発総合センターでは、IPMの普及に力を注いでいます。
オクラだけでなく、集めた天敵をスナップエンドウの害虫防除にも活用する研究も開始しています。