かごしま黒豚の第4系統豚が完成
平成28年1月14日の南日本新聞によりますと、
かごしま黒豚の第4系統豚「クロサツマ2015」が完成したことを、1月13日に鹿児島県が発表しました。
系統豚とは、肉質に優れた一定数の基礎豚をもとに、交配と選抜を繰り返して完成された、
遺伝的に優良で均質な豚の集団です。
生産者は繁殖用に購入し、高品質な肉豚生産が可能になります。
昨年の平成27年(2015年)11月に日本養豚協会に申請し、雌雄83頭の系統豚が認定されました。
認定は平成13年(2001年)の第3系統豚「サツマ2001」以来です。
第4系統豚に関しては、2006年度から開発が始まりました。
今回の「クロサツマ2015」は、既存の系統豚の血が入っていない純鹿児島産の雌雄55頭を生産者から譲り受け、
2015年まで7世代にわたり交配、選抜を繰り返してきました。
背脂肪を薄くし、高級部位であるロース断面積が大きくなるよう改良しました。
生産者からの要望で、生産の主流が白豚に移る前の昭和30、40年代に飼われた在来種の体系を再現しています。
体型がなすび形で、鼻はしゃくれています。
初代系統豚の第1系統豚「サツマ」は、1983年の認定から32年が過ぎました。
長期の交配で血縁の度合いが高まり、近親交配の弊害が危惧されていました。
そのため、鹿児島県畜産試験場(霧島市)は新たな系統豚開発に取り組んでいました。
総事業費は2億6千万円です。
鹿児島県はこれまで、75頭規模の系統豚3種を開発してきました。
系統豚の開発は1971年にさかのぼり、その当時は生産効率の高い白豚が主流でした。
黒豚バークシャー種の系統豚は、鹿児島県だけが保有しています。
鹿児島県の系統豚開発の変遷は、県畜産課資料によりますと、以下の通りです。
第1系統豚
サツマ(1983年認定)
「発育」に重点をおいて改良を図るため、基礎豚にアメリカ産バークシャーを一部活用
基礎豚の産地:鹿児島、広島、埼玉、アメリカ
注:バークシャー (日本養豚協会HPより)
原産国イギリス バークシャー州品種の特徴
中型で、全体におおむね長方形。顔は長めで、顔面はわずかにしゃくれている。
色は黒で、眉間、四肢端及び尾端が白。
いわゆる黒豚として肉質の良さが特徴。
第2系統豚
ニューサツマ(1991年認定)
「肉質・産肉性」に重点をおいて改良を図るため、基礎豚にイギリス産バークシャーを一部活用
基礎豚の産地:鹿児島、イギリス
第3系統豚
サツマ2001(2001年認定)
在来黒豚を基礎豚とし、「産肉能力」に加えて「赤肉割合の向上」を目的に改良
基礎豚の産地:鹿児島
注:産肉能力
家畜の生産能力のうち,肉生産に関与する形質の総称。
特に肉牛や豚においては主対象となる形質である。
そのおもなものとしては,生後一定の時期における体重で示される発育、
肥育における増体量や飼料の消費でみる肥育性と畜解体時における肉量や肉歩どまり、
肉だけの重量でみる正肉量、肉と脂肪との割合を示す肉脂率などがあげられる。
第4系統豚
クロサツマ2015(2015年認定)
在来黒豚を基礎豚とし「背脂肪の厚さ」「ロース断面積」「離乳時子豚総体重」を主要形質として改良
基礎豚の産地:鹿児島