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鹿児島の壺造り黒酢が地理的表示法に基づき登録

農林水産省HPプレスリリース(平成27年12月22日)によりますと、
特定農林水産物等の名称の保護に関する法律(通称:地理的表示法)に基づき、鹿児島の壺造り黒酢が、
登録番号7で特定農林水産物等に決定しました。

今回登録が発表された他の農林水産物・食品は以下のものです。
登録番号1 あおもりカシス
登録番号2 但馬牛
登録番号3 神戸ビーフ
登録番号4 夕張メロン
登録番号5 八女伝統本玉露
登録番号6 江戸崎かぼちゃ

特定農林水産物等の名称の保護に関する法律(通称:地理的表示法)について、以下説明します。
まず、地理的表示保護制度について説明すると、この制度は地域の知的財産を保護するものです。
地域で長年育まれた特別な生産方法によって高い品質や評価を獲得している農林水産物・食品の名称を
品質の基準とともに国に登録し、知的財産として保護します。
国際的に広く認知された制度で、世界でも、100カ国を超える国で行なわれています。
日本でもこの制度を実施するために、平成26年6月に法律が成立しました。
「特定農林水産物等の名称の保護に関する法律」(平成26年法律第84号)というもので、通称を「地理的表示法」と言います。
同年6月から、申請受付を開始しました。
この法律の目的は、生産者利益(地域の知的財産)と需要者利益の保護です。
生産者は、地域ブランド産品として他の産品と差別化ができ、価格に反映することができます。
その結果、農山漁村・地域の活性化も見込まれます。
消費者にとっても、地域ブランド産品の品質を保証してもらえるので、利益になります。

「特定農林水産物等の名称の保護に関する法律」(通称:地理的表示法)は以下の通りです。
①生産・加工業者の団体が「地理的表示」を生産地や品質等の基準とともに登録申請する。
②農林水産大臣が審査の上、地理的表示及び団体を登録し、基準を満たすものに「地理的表示」及びGIマークの使用を認める。
③登録を受けた団体が品質管理を実施。農林水産大臣が団体の品質管理体制をチェック。
④不正使用があった場合は農林水産大臣が取締る。

① の「登録」は以下の流れで行われます。
生産・加工業者の団体が、「地理的表示」を申請書と添付書類(明細書、生産行程管理業務規程等)により、登録を申請します。
登録の申請には、団体を組織することが必要で、生産・加工業者では登録申請はできません。
生産・加工業者の組織する団体は以下のことが必要です。
※ 法令、約款等に加入の自由を定めることが必要(正当な理由なく加入を拒んだり、困難な条件を付してはならない)。
※ 生産・加工業者が加盟するブランド協議会のような団体でも可。
※ 複数の団体を登録することも可。

登録の申請書は以下のことを備える必要があります。
地域で話し合い、その産品が満たすべき品質の基準を作成します。
①名称(=地理的表示)
②生産地
③特性
④生産の方法
⑤伝統性
申請書に添付される書類は次の二つです。
1.明細書(団体毎の品質の基準)
2.生産工程管理業務規程(団体が行う品質管理業務に関する定め)

②の審査は、以下の手続きで行われます。
申請の受付後、3ヶ月間にわたる第三者からの意見書提出の期間を設けます。
その間に、誰でも意見書を提出することは可能です。
意見書提出期間が終了した後、学識経験者に意見書を提示し、利害関係者に意見を聴取します。
これらの意見聴取を経て、農林水産大臣による登録審査が行われます。
農林水産大臣が審査の上、地理的表示及び団体を登録します。
申請書により定まる品質の基準、明細書によりその産品が満たすべき品質の基準も、合わせて登録します。
その結果、産品の品質の統一化が図られます。
登録簿記載後、農林水産省のウェブサイトの専用ページで公示されます。
地理的表示メールマガジン(http://www.maff.go.jp/j/shokusan/gi_act/index.html)
登録に不服がある場合は、行政不服審査法、行政事件訴訟法に従って不服を述べることは可能です。

③の登録後の品質管理に関しては、次のことが行われます。
生産・加工業者の団体は、その構成員である生産・加工業者が登録の際の明細書(その産品が満たすべき品質の基準)に
適合した生産を行なっているかどうか指導、検査等を実施します。
この検査等は、外部機関に委託することも可能です。
農林水産大臣も、年に1回以上の実績報告書を提出させ、生産工程管理業務が適切に行われているか、定期的にチェックします。

④の取締りについて
不正使用に対して行政が取締りを行うことで、生産者が訴訟等を起こす必要がなくなります。
負担も少なく、自分たちのブランド産品を保護することができます。

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