バイオ燃料用の藻を鹿児島で大量培養成功
平成27年5月21日付ちとせ研究所プレスリリース、5月22日付日本経済新聞によりますと、
株式会社IHI、国立大学法人神戸大学および株式会社ちとせ研究所は、
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業
「戦略的次世代バイオマスエネルギー利用技術開発事業」において、
バイオ燃料用微細藻類(ボツリオコッカス)の屋外大規模培養(培養池面積1,500平方メートル)に成功しました。
設備の場所は、鹿児島県鹿児島市七ツ島で、栄養となる糖類を添加せず、光合成のみで藻体の安定的増殖に成功しました。
1,500平方メートルという大規模設備での成功は事業化に向けての大きな前進となります。
「戦略的次世代バイオマスエネルギー利用技術開発事業」は2012年度に開始し、藻類バイオ燃料の実用化に向けた研究開発を行って
きました。
その際に着目されたのが、高速で増殖する高速増殖型ボツリオコッカス(榎本藻)です。
榎本藻は、国内で発見されたボツリオコッカスの一種をベースに、榎本平神戸大教授の指導のもとで独自の品種改良を重ね、
燃料生産に適した性質を持つように開発された藻です。
石油代替となる炭化水素油を生産し、増殖性が高いという点に特徴があります。
ジェット 燃料を中心とした様々な利用を目指しています。
2013年には、IHI 横浜事業所(神奈川県横浜市)内に設置した屋外培養試験プラント(100平方メートル規模)で
油分を大量に含む藻の安定培養に成功しました。
屋外の開放型の池で、増殖に必要なエネルギー源として太陽光のみを利用しました。
他の藻類や雑菌などに負けない培養方法を開発したことで、藻を高濃度で安定的に増殖させることができました。
「戦略的次世代バイオマスエネルギー利用技術開発事業」は海外での事業展開を想定し、事業実施場所の選定を並行して進めています。
今回成功した大量培養技術を適用した試験を進め、燃料製造コスト低減に向けたプロセス全体(藻体回収・搾油等)の改良も
行っていく予定です。