喜界島の旧早町小学校がサンゴ研究の場に
平成27年5月3日の南日本新聞によりますと、
北海道大学が喜界町から旧早町(そうまち)小学校の校舎の一部を借り、サンゴ礁研究の拠点として利用することになりました。
北海道大学の渡邊剛博士門下、山崎敦子博士が常駐します。
喜界島は地殻変動などによって地盤が盛り上がる隆起が今も続いています。
近海では300~400年間成長を続けるハマサンゴも確認されています。
喜界町HPによりますと、
旧早町小学校は平成24年3月に閉校となりました。
現在の早町小学校は、平成24年4月に阿伝、小野津、志戸桶、早町の4小学校が再編され、
早町中学校跡地に新設されたものです。
喜界島は隆起珊瑚礁の平坦な島です。
奄美大島の東に位置し、東経130度の線上に島があります。
現在でも年間に2ミリずつ隆起し、学術的にも非常に貴重な島といわれています。
北海道大学HPによりますと
北海道大学理学研究院 自然史科学部門の渡邊研究室は渡邊剛博士率いるサンゴ礁地球環境学(CREES)の研究室です。
(注:CREESはCoral Reef Environmental Earth Sciences の略)
渡邊研究室では、サンゴをはじめとした炭酸塩岩が形成される過程と環境を理解し、
そこから推定される、過去、現在、未来の地球環境変動を詳細に捉え、
それらの環境に生物がどのように適応/応答するのか(したか)を考えることを基本に研究を行っています。
過去の地球環境を記録する媒体は古環境復元指標(Proxy)と呼ばれます。
古環境復元には、海底コアや氷床コア、樹木年輪などが用いられます。
渡邊研究室では、生物源炭酸塩を主に古環境復元指標(Proxy)としています。
生物源炭酸塩とは、生物が造る炭酸カルシウムの殻や骨格を指します。
山崎敦子博士の研究テーマは造礁性サンゴ骨格の窒素同位体比変動要因の解明と古環境復元指標への応用です。
サンゴについて
サンゴは炭酸カルシウムという物質で骨を作りながら、さまざまな形に成長する動物です。
サンゴは一匹一匹があつまって形をつくる群体(ぐんたい)で生活しています。
ひとつのサンゴには触手、口、胃があり、その下に骨を作りながら大きく成長していきます。
サンゴの骨をスライスしてX線写真をとると、木と同様に年輪のようなものを見ることができます。
サンゴが1年に成長した幅や骨に入っている物質を調べることで、昔の海や地球の環境を知ることが可能です。
大きいサンゴには何百年間もの環境の変化が記録されており、未来の環境を予測するのに役立ちます。
サンゴの骨はサンゴ礁に住む生き物たちの住みかになり、サンゴの骨でできた海の中の地形をサンゴ礁と言います。
サンゴ礁は世界中のあたたかくてきれいな海にあり、日本はサンゴの北限です。
地球温暖化とサンゴ礁の環境は大きく関係しています。
サンゴの中には、光合成をしてサンゴにエネルギーをあたえる共生藻(きょうせいそう)という小さい生き物が住んでいます。
温度や塩分が変化すると、この共生藻がサンゴから出て行ってしまい、サンゴの白い骨がすけて見えます。
これをサンゴの白化と言い、白化が長い間つづくと、サンゴは死んでしまいます。