悪性リンパ腫において、がん細胞を増殖させるタンパク分子の仕組みを解明
南日本新聞(平成27年2月7日)によりますと、
英国オンライン科学雑誌「ネイチャーコミュニケーションズ」に1月20日付で鹿児島大学の原博満教授の論文が掲載されました。
これは、鹿児島大学大学院医歯学総合研究所免疫学分野の原教授と理化学研究所、佐賀大学医学部の共同研究です。
悪性リンパ腫(ABCDLBCL)において、がん細胞の増殖をコントロールするタンパク分子(CARMA1)が働く仕組みを解明しました。
悪性リンパ腫は血液のがんの一種です。
悪性リンパ腫(ABCDLBCL)では、タンパク分子のCARMA1が異常に集まることにより、タンパク分子のNF-κBが活性化します。
タンパク分子のNF-κBが活性化すると、がん細胞の生存や増殖を促します。
共同研究では、タンパク分子のCARMA1に注目しました。
重要なキーは、タンパク分子のCARMA1内にあるSH3とGUKと呼ばれる領域でした。
SH3とGUKと呼ばれる領域の結合を阻害すると、タンパク分子のCARMA1の異常な凝集がなくなることがわかりました。
タンパク分子のCARMA1の異常な凝集がなくなると、タンパク分子のNF-κBの不活性化につながり、
がん細胞の増殖の沈静化につながります。
原教授は、SH3とGUKの結合を阻害する薬剤を開発すれば、ABCDLBCLの効果的な治療薬になる可能性があると述べています。