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Compile


コンクリートに砂ではなく、火山灰やシラスを使用する試み

平成26年6月4日の南日本新聞によりますと、地方独立行政法人「北方建築総合研究所」(北海道旭川市)では、
火山灰をセメントに混ぜて長寿命のコンクリートを製造する研究が進められています。
過去にヒントがありました。
ローマ帝国時代の遺跡では、コンクリートに火山灰が使われていたのです。
コンクリートに使う砂の半量を大雪山系などの火山灰に代えてみたところ、強度は変わらず、
中性化にかかる時間が従来品の約1・7倍に延びることが明らかになりました。
コンクリートは強アルカリ性を帯び、鉄筋をさびから守ります。
しかし、空気中の二酸化炭素と反応して中和が進み、中性に近づくと、波や風による塩害も加わり、鉄筋の腐食という問題が起きます。
中性化にかかる時間が遅くなる理由として、火山灰の含有物がセメントと反応して生まれた成分がコンクリートにある微細な穴をふさぎ、
外気や塩の侵入を防いでいると推測されています。
現在、セメントと混ぜる砂は全国的に枯渇気味のため、砂の節約の観点からも重要な研究になりうる可能性があります。

平成26年6月25日の読売新聞によりますと、鹿児島県では、シラスを混ぜたコンクリートを活用する動きが広がっています。 
シラスとは、南九州一帯に分布する火砕流堆積物です。
鹿児島県は川砂・海砂の大量採取による環境への影響も考慮し、1998年度以降、シラスコンクリートも採用しています。
県発注の河川護岸工事など、40件の活用実績があります。
シラスコンクリートは、セメントに川砂や海砂を混ぜる代わりにシラスを使用します。
長年研究を続けている鹿児島大学の武若耕司教授(コンクリート工学)によりますと、シラスコンクリートの特色は、
セメント中のカルシウムとシラスに含まれる火山性物質が化学反応し、砂より劣化しにくい点です。
塩分や硫黄分にも強く、海中の構造物や温泉地など悪条件下での耐久性に優れている点もあります。

補注
シラス:約10万〜2万年前に鹿児島湾奥の姶良カルデラなどから噴出した火砕流が堆積したものです。
粒子が細かく、ガラスや鉱物などが含まれています。
鹿児島県本土では「シラス台地」が全体の約6割を占めています。
土壌としては、水はけが良すぎるため稲作には不向きで、大雨の際、土砂災害などが起きる恐れもあります。