鹿児島大学理工学研究科(理学系)の尾上哲治助教が「2012年日本地質学会小藤賞」を受賞
平成24年10月4日
鹿児島大学理工学研究科(理学系)の尾上哲治助教が「2012年日本地質学会小藤賞」を受賞しました。
尾上哲治助教と日本学術振興会特別研究員の佐藤峰南さんが2010年10月に発表した論文「中部日本、美濃帯の上部トリアス系チャートから発見したNiに富むスピネル粒子」が対象です。
岐阜県坂祝町の木曽川河床にみられるチャートという岩石から三畳紀後期に起こった隕石衝突が北米の動植物の絶滅の原因となった可能性を示唆しています。
鹿児島大学HPによりますと、鹿児島大学理工学研究科(理学系)の尾上哲治助教が「2012年日本地質学会小藤賞」を受賞しました。
日本地質学会は1893年に創立され、4500人以上が所属する日本の地球科学関連学協会の中で最大規模の学会です。
小藤賞は、日本地質学会発行の学術誌である「地質学雑誌」に重要な発見または独創的な発想を含む短報を発表した者に与えられる賞です。
日本学術振興会特別研究員の佐藤峰南さん(理工学研究科)と理工学研究科(理学系)の尾上哲治助教が、2010年10月に発表した論文「中部日本、美濃帯の上部トリアス系チャートから発見したNiに富むスピネル粒子」により本賞を受賞しました。
三畳紀後期(約2億1500万年前)にはいくつかの生物絶滅イベントが知られています。
その原因のひとつとして隕石衝突が考えられてきましたが、これまで世界各国の研究者が20年以上にわたり隕石衝突の証拠を探してきたのにも関わらず、今まで不明でした。
研究グループは、三畳紀後期の隕石衝突の証拠を探す目的で、2009年4月に研究を始め、岐阜県坂祝町の木曽川河床にみられるチャートという岩石を対象にしました。
2010年には、チャートの間に挟まれた粘土層から、隕石衝突により形成されたと考えられる直径1 mm以下のスフェルールとよばれる球状粒子を発見しました。
元素分析の結果から、地球表層には一般に極めて微量にしか存在しない白金族元素が、異常に高い濃度で含まれることが明らかになり、巨大な隕石の衝突によりもたらされたものと結論づけられました。
今回の研究では、三畳紀後期に起こった隕石衝突が北米の動植物の絶滅の原因となった可能性を示唆していますが、海洋プランクトンはその影響を受けず多くの種が生き延びたことを明らかにしました。
そこで、今後はこの隕石衝突によりどのような生物が絶滅の影響を受けたのか(絶滅の選択性)について研究を行なう予定だということです。