鹿児島大学に焼酎・発酵学教育研究センター設立
2011年(平成23年)3月16日の西日本新聞、南日本新聞によりますと、
鹿児島の主要な地場産業の焼酎を研究するために、2011年4月、鹿児島大学農学部に焼酎・発酵学教育研究センターが設立されました。
業界団体や関連企業が鹿児島大学に開講した焼酎講座が母体となり、人材育成・交流、研究が始まっています。
鹿児島県において、焼酎は、鹿児島の大切な地場産業であるにもかかわらず、地元にはこれまで本格的な研究所がありませんでした。
この弱点を打破しようと、2006年に業界団体や関連企業が鹿児島大学に5億円を寄付し、鹿児島大学農学部に焼酎講座を開講しました。
鹿児島の焼酎文化の技術伝承や人材育成が目的です。
この焼酎講座が母体になり、2011年の焼酎・発酵学教育研究センター設立となりました。
業界団体や関連企業が、大学と協力した結果、焼酎作りを担う人材が多く生まれると同時に、
焼酎会社の人間が改めて焼酎講座を受講するという流れも出ています。
専用研究棟では、実際に焼酎を製造しています。
平成25年2月には、宇宙帰りの酵母を使った芋焼酎も発売されています。
研究対象は、焼酎に限らず、発酵に関わる酵母や麹等、食品産業に有用な微生物にまで範囲は広がっています。
また、2011年12月には、中国四川大学錦江学院醸造工学部と学術交流協定を結びました。
センター所有の麹や酵母と中国の薬草を使用した、共同研究プロジェクトも進行しています。
鹿児島大学農学部焼酎・発酵学教育研究センターHPによりますと、
センターは、学部生への専門教育と焼酎学コース配属の学生への卒業論文指導、および大学院生への教育研究指導を通じて、
これからの焼酎・発酵分野の発展を担う人材の育成を目指しています。
焼酎製造学部門、醸造微生物学部門、発酵基礎科学部門、焼酎文化学部門の4つの部門があります。
焼酎製造学部門では、焼酎の持つ独特な風味を解析し、生成機能の解明を研究しています。
また、麹や焼酎粕の働きを調べ、新しい蒸留機の開発等、製造技術の研究開発を行っています。
研究を通じて焼酎製造学、醸造学、有機化学、酵素化学を修得することができます。
醸造微生物学部門は、発酵食品の製造に用いられる酵母、麹菌、乳酸菌に関しての研究を行います。
酵母や麹菌は、焼酎だけでなく日常の食生活に密接に関わっている微生物であり、
その多様な機能を遺伝子・細胞レベルで解明する研究を行っています。
研究を通して醸造学、微生物学の他、生化学、遺伝子工学、細胞分子生物学を修得することができます。
発酵基礎科学部門では、焼酎・発酵学の基礎科学である生命科学・食品機能科学に関し研究します。
その他、原料農作物の栽培技術や生産科学等も、関連科学として考慮されています。
焼酎文化学部門は文化の視点から、焼酎を研究します。
文化、歴史を調査研究し、社会との関わりと通じて、新たな焼酎づくりのヒントを学びます。